情熱人インタビュー♯4 マルシェ主催者 小林あきよ(こばやしあきよ)さん

小林あきよ(こばやしあきよ)さんは、

主婦として家を切り盛りしつつ、育ち盛りの2人の男の子の子育てを行いながらも、

子どもが学校に行っている時間を上手に使いマルシェを主催しています。

 

マルシェとは、市場のことで、洋服、アクセサリー、食品、ワークショップなどさまざまなジャンルのお店が出展して来たお客さんを楽しませます。

 

笑顔がとても印象的で、楽しそうにマルシェについて話す彼女に、その楽しさの源(みなもと)について今回お話をお伺いします。

 

インタビュー・文/増田正弘

 

——マルシェを始めたきっかけは?

 

「きっかけは?」って言われると、自分が子どもの頃にまで、さかのぼります。

 

私は友達と遊ぶときでも「鬼ごっこしよう」、「キックベースしよう」みたいなことを自分から言っていました。「この指と〜まれ!」というタイプでした。

 

おままごととかお人形遊びがすごく苦手だったんですよ。

女の子っぽい遊びというのが。

 

鬼ごっことか走る系、戦いごっこ、なんとかレンジャーみたいなのが大好きで。

 

だから自分から言うしかないんですよね。「これをやりたいからやろう!」と。

 

一緒にやるのは圧倒的に男の子が多いんですけど。

女の子で遊べる子がいないので、自分で集めるしかなかったですよね。

 

学生のときも、文化祭の委員会の実行員とかクラス委員とかを率先してました。マルシェを主催するようになったのは、子ども時代からの自分のそういう気質からきていると思うんです。

 

——なるほど、仕切るのが好きだったんですね(笑)。

では、マルシェを主催するようになったのはなぜですか?

 

もともと月1回「子育てサロン」というものをやっていたんですね。

 

そこでそのサロンの運営費を捻出するために年2回、

夏と冬にフリーマーケットみたいなバザーをやっていました。

 

子どもが大きくなって、私はその子育てサロンを抜けたんですけど、

抜けたあとも「バザーとかやりたいな」と思っていて。

 

ママ友さんたちが裁縫とか、お料理とかすごい上手な人たちがまわりにたくさんいて、

作ったものをいろいろ私にくれるんですよ。

作ってくれたり、作ったものをプレゼントしてくれたりするんで。

 

それで、その品がとても完成度が高かったので、もったいないと。

「これ売れるんじゃないか」と思ったのがキッカケです。

 

そこで、ママ友さんに話してみたんですよ。

 

「せっかくだからフリーマーケットとかに自分の作ったものを出してみたら」と。

 

でも話を聞いていくうちに、フリーマーケットって

ほとんど土日とか祝日に開催するものがほとんどだから子どもも学校休みだし、

と子供もいるから出店旦那さんに預けづらいと。

 

だったら平日の幼稚園や学校に行っている間にやろうよといって、

はじまったのがマルシェのきっかけですね。そこからスタートしてます。

 

 

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ーーマルシェに出展する側ではなく、主催する側になったのはなぜ?

 

私は家庭科が2なので(笑)。作れるもの、売れるものが自分で何もないんですよ。

なので、ものやサービスを作ることができる人たちを集めて、

場所だけ提供しようかなと思ったんです。

 

作る人は売りたいんだけど、場所を探していたりとか、作品づくりに没頭したいじゃないですか?

 

だから、その人たちが出来ない部分は、「私がやるよ!」みたいな感じで。

 

場所探しからはじめました。そういうのがイヤじゃないので。

 

ーーいちばん最初にマルシェを開催したのはいつですか?

 

たしか、2014年2月3日の節分だったと思うんですけど。

地元・相模原のハンバーガー屋さんの2階がレンタルスペースみたいになっていて、

そこで開催しました。そこの会場で会議卓を15個ぐらい並べて、商品を陳列しました。

 

告知は、「Facebookでマルシェやるよ」という情報を流して。

 

あとは友達への口コミで、子どもも入れてだいたい150人ぐらいお客さんがきましたね。

潜在的に出展したい人も、マルシェに来たい人もいるんだなとすごく分かりました。

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ーー最初からご自身だけでマルシェを主催したのですか。

 

いいえ。友達と役割を分担して主催してました。

私が場所取りや出展者を集めて、彼女がマルシェで使うポスターをデザインしたり。

 

——役割分担がうまくいっていたんですね。それからも順調にマルシェを開催していったんですか?

 

そうですね。合計で4回ぐらい開催しました。

ただ、私がこのマルシェをビジネス化しようとしてしまったことがあって、

そこでその友達と少しいさかいがありました。

 

今も連絡を取り合う仲なので、もう彼女との間に問題はないんですけど。

当時は、「マルシェを辞めよう」と思いました。

 

——なぜ、マルシェをビジネス化しようと思ったんですか?

 

もともと専業主婦なんですけど、いつかビジネスというのを自分でずっとやりたくて。

そしたら、マルシェで起業できるんじゃないかなと思って。

単純な浅はかな思いだけでやろうとして、友人関係が壊れそうになりました。

 

「需要があるから、これ儲かるぞ」みたいな。

「これいけるんじゃないか」と思ったんですよ。

そこで起業コンサルタントの方に会いに行って

「友達と仕事量が違うのに、マルシェの収益(出展料)が友達と折半て、おかしいんじゃないか

と言われて。

 

それで、そのことを友達に伝えたんですよ。

「私は会場探しとか外回りはやるから、ポスターつくるとかそういうのはギャラとして

こっちから払わせてくれ」って。

 

その場では「いいよ」という返事だったんですけど、

あとから友達が、「あのときはあんなこと言われてとても嫌だった」と言われて、落胆と申し訳ない気持ちでいっぱいでした。友達との関係がギクシャクしてしまって、「もうマルシェ辞めたい」と思いましたね。

 

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——そこから儲けを第一に考えないようになったのはなぜですか?

 

お金をもらおうがもらわまいが、それをやりたいかどうかみたいな原点に戻りました。

 

もともとマルシェを主催した動機も、出展者さんを売り出すみたいな

後押しするようなお手伝いがしたかったので。

 

ママ友さんに、自分が作ったものには価値があるし、

まわりからも評価されるんだよということを伝えたかったんですよ。

自分の作品が売れることで自信も湧くし、もっといいものを作りたいと思うじゃないですか?

 

そこをマルシェというカタチで伝えたいと。

私がいくら「あなたの作品は価値がある」と言ってもなかなか伝わらないので、

実際にマルシェに出展して売れたほうが伝わると思って。

 

それと今もアドバイスをもらっている方と出会って、

一緒に自分を掘り下げていったことも今のマルシェの活動に繋がってますね。

 

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ーー自分を掘り下げていったというのは具体的にはどういったことを?

 

そもそも私がなぜ起業しようとしたり、稼ぎたいと思ったかを探っていくと、

親子関係のもつれが私の中にあったからだということに気づいて。

 

両親にほめられたい、とくに母にほめられたいという気持ちがあったから、

稼ぎたいって方向に一時的に走ってしまったというのがあるんでね。

 

稼いで認められたいっていう、気持ちがどこかにあったようです。

 

でも、去年の秋ぐらいに、「母に嫌われているんじゃないか、私は愛されてない」

という思いがぱーんて和解したんですよ、急に。

 

そしたらそういう認められたいって気持ちがなくなって。

 

人にほめられるんじゃなくて、ほめられようとほめられまいと

自分のやりたいことに全エネルギーを注げるようになりました。

 

ーープライベートな部分で恐縮なんですが、なぜ自身の中で、お母さんと和解できたのですか?

 

母との会話のなかでふと気づいた感じですね。

ある日、父を私が怒らせて。

父が「お前なんてどうしようもない」みたいな感じで怒っていたときに、

母が「娘のおかげで孫と遊んで、いちばん楽しんでいるのはお父さんなんだよと。

感謝しなくちゃいけないよ」と言ってくれたというのを母が教えてくれて。

 

「なになに、そんなこと言ってくれたの?」みたいな。

 

「そうだよね、あいつアホだよね」と父に同調せずに、すごい守ってくれたというか。

母からそう聞きました。

そこからだいぶ母に認められたいって気持ちが変わったと思います。

「なんだ最初から認めてくれていたんだ」と。

 

私がもう一回生まれ変わった日だと思います。それぐらい衝撃的でした

 

ーーその出来事があった前と後では全然違いますか?

 

違いますね。本当にほめられようと思わないし、自分が完璧な母親になろうとも思っていないです。

「私はわたしのままでいいや」と思って。

 

いまも実家の目と鼻の先に住んでいるんですけど、

今でも母にご飯作ってもらったりだとか、ふつうにします。

 

甘えられるようになりましたね。

以前よりワガママになったというか。もちろんそのぶんできることはするようにしてますよ。

 

たとえば母がイライラしていても、「かわいいなぁ」と思えるようになったり、

「そんなことで怒るの?」みたいな(笑)。父に対しても、子どもたちに対しても寛容になれてます。

 

ーー親子関係の改善が、今のマルシェの活動に繋がっているんですね。

 

家族という自分のいちばん身近な人たちとの関わりが良くなったので、

なんでもできるんじゃないかなと思えるようになりました。

それこそ根拠なき自信じゃないですけど、心の支えです。

 

以前の私みたいに自分と親との関係で悩んでいる人が結構いると思うんですよ。

「私は親と同じ育て方を自分の子どもにはしない」みたいな、

自分の親への反骨精神で子育てしている人も結構いますよね。

 

その気持ちも分かるんですけど、それよりも自分の親と和解、

親のことを許してしまった方が、なんでもうまくいくんだよということも伝えたいですよね。

 

——親子関係を改善することで、認められたい、儲けたいという罠にハマらなくて

本当に良かったですね。

 

そうですね(笑)。

 

今なら分かるんですが、このマルシェで儲けるのはけっこう難しいと思います。

儲けようとしたら出展料をあげるか、店舗数増やすかぐらいしかないと思うので。

 

出展数を増やすとお客さんがお店を回り切れなくて、あまり良くないんですよね。

だから一気に増やすのはちょっと嫌ですね。

 

それにマルシェの出展費でもうけようとか稼ごうとかいうのは思ってないので。

 

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——ここで再び、マルシェの話に戻りますが、どんなお店が出展しているのですか?

 

デニムのリメイクバッグや洋服、手づくりのアクセサリーなどです。

 

あとはワークショップの人も多くて。

キャンドルとかサンキャッチャーといってクリスタルボールみたいなのを

組み合わせて窓においておくとキレイに反射するグッズのワークショップもありますね。

 

あとは、耳つぼやリラクゼーション系のも。

あとは食べ物ですね。珈琲やパン屋さんとか。

お菓子もありますよ。

 

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——マルシェを成功させるうえで、どんな点に気をつけていますか?

 

いちばん最初に毎回そのマルシェのコンセプトを掲げて、出展者の募集要項を作ります。

 

その段階で、「とにかく売ること」を目的にしていない人を集めるようにしています。

 

お客さんとか出展者さん同士の出会いとかそういうつながりを大事にしてくれる人に

出展してほしいので。

 

あとは、場の一体感や空気を一緒に作ってくれる人も大歓迎です。

 

ーーマルシェは今後も続けていきますか?

 

「飽きるまでやっていきます!」という感じです。

 

今後はセミナーじゃないですけど出展する人たちの悩みや不安を聞いて、

そういうものを解決したうえでのマルシェをやってみたいですけどね。

 

今よりももうちょっと出展者と深く関わるというか。

 

そうすることで、もうちょっと一体感も持てるかなと思いますし、

もっと良い作品も出てくると思います。

 

ーーそこまで夢中になれるマルシェの魅力って何ですか?

 

出展者さんとの出会いやつながりというのがあります。

 

通常のお店とかで売ってないオリジナルな作品を作って、そのマルシェでしか買えない品が並ぶ。

そういう才能を私が発掘したい、世にだしたいという思いがあります。

 

マルシェを開催して、来店数が500人になったとしても達成感はないんですよね。

 

どちらかというと。

来店数我多くても、出展者さんの作品がまったく売れなかったら私も嬉しくないですし。

 

出展者さんには、売り上げも大事ですが、

どちらかというと密なつながりをお客さんと作ってほしいと思っています。

 

そのマルシェで売れなくても、そのマルシェに来ていたお客さんからオーダーがきたって話も聞きますし。そういう話を聞くと、私も喜びを感じますね。

 

ーー今後やってみたいことは?

 

自分のコミュニティを作っていきたいですよね。

自信がいない人が多いので、自信て根拠ないところからなんだよとか、

自分の悩んだことや経験したこと、マルシェを通じて身につけた知識は伝えたいな

というのはありますね。

(インタビュー終わり)

 

(取材後記)

取材場所に指定した東京・新宿駅近くのスターバックスに現れた小林さん。

手にはジーンズで作られたおしゃれなリメイクバッグがありました。

 

「このバッグ、出展者さんからお試し価格で購入したものなんですよ!」と

楽しそうに話す姿がとても印象的でした。

 

何をするかより、どんな気持ちでするか。

 

そういった意識がとても大事ということを教わったインタビューでした。

 

マルシェとフリーマーケットの違い。

小林さんに定義してもらうとフリーマーケットは、いらなくなった古着や小物などを出展する場所。マルシェは出展者が自分で作ったオリジナルの商品やサービスを提供する場所とのこと。同じ市場でも、マルシェとフリーマーケットはまったく違います。

 

プロフィール:小林あきよさん

 

地元・神奈川県相模原市で年に数回マルシェを主催しています。マルシェごとにユニークなコンセプトを掲げていて、何回行っても新たな発見があるので飽きがこないのが特徴的です。マルシェについての告知は主にFacebookで行っているのでご興味のある方はぜひ!